銀座の老舗デパートでフォーマルアクセサリーを担当して30年になるベテラン販売員の方は、時代とともに変化する葬儀バッグの需要を間近で見守ってきました。彼女によると、以前は「とにかく布製のハンドバッグで、それ以外の選択肢はない」という厳格な風潮がありましたが、最近では多様な価値観が認められるようになっていると言います。しかし、それでも変わらないのは「品格」へのこだわりです。特に40代、50代と年齢を重ねるにつれ、安価な合皮のバッグでは黒い喪服との調和が取れなくなり、本物の布製バッグや、最高級の牛革(カーフ)を求めるお客様が増えるそうです。最近のトレンドとしては、少しだけマチを広く取り、スマートフォンの大型化に対応したモデルや、取り外し可能なチャームが付いていて、法事や卒業式など、葬儀以外の場面でも使い回せる「セミフォーマル」タイプが人気です。しかし、販売員の方は「流行を追いすぎるのは、葬儀バッグにおいてはあまりお勧めしません」と助言します。葬儀は20年、30年と間隔を置いて訪れることもあるため、いつ取り出しても「古臭い」と感じさせない、クラシックな台形やオーバルの形が最も失敗がありません。また、意外と盲点なのが、持ち手の長さです。冬場に厚手のコートを着た際、持ち手が短すぎると腕にかけることができず、不便な思いをすることがあります。購入時には、コートを羽織った状態を想定して試着することが重要です。また、最近では「お受験」や「入学式」と兼用できることを謳ったバッグも多いですが、葬儀用としては光沢感や金具の露出をより厳しくチェックすべきです。彼女が接客の際に必ず伝えるのは、「バッグは脇役ですが、その脇役が完璧であって初めて、主役であるお悔やみの心が相手に伝わるのです」という言葉です。上質なバッグは、手入れを怠らなければ一生ものです。大切な人を失った悲しみの中で、そっと寄り添ってくれるような、自分の手に馴染む1品を見つけるお手伝いをすることが、彼女の誇りとなっています。
老舗デパートの店員が語るフォーマルバッグのトレンドと普遍性