葬儀に参列する際、良かれと思ってパールを選んでも、デザインを一歩間違えるとマナー違反となってしまうことがあります。最も注意しなければならないのは、パールのピアスに「装飾」がついているケースです。例えば、パールの上に小さなダイヤモンドやキュービックジルコニアなどの石が埋め込まれているデザインは、たとえ石が小さくても光を反射して輝くため、葬儀には不適切です。弔事の装身具は「光るもの」を徹底的に排除するのが基本ルールです。また、パールの周りにミル打ちや彫金などの細工が施された台座も、華美な印象を与えるため避けるべきです。台座はパールの裏側に隠れる、極めてシンプルなものが理想です。次に、パールの「形」についても注意が必要です。バロックパールと呼ばれる歪な形の真珠は、その個性的でカジュアルな風合いが魅力ですが、葬儀はフォーマルな場であるため、原則として「ラウンド(真円)」またはそれに近いものを選びます。ドロップ型やボタン型のパールも、スタッドタイプであれば許容されることもありますが、基本は正円です。また、2連や3連になっているピアス、あるいは1つのピアスに複数のパールがついているデザインも、重なり合うことが「不幸が重なる」という連想を招くため、ネックレスと同様にピアスでも避けるのが賢明です。左右で色が違うものや、デザインがアシンメトリーなものも論外です。さらに、近年増えているピアスホールを複数開けている方の対応についても触れておきます。葬儀の場では、ピアスはメインのホールにパールの1対のみを着用し、他のサブホールのピアスは全て外すのがマナーです。透明なピアス(シークレットピアス)であっても、近くで見れば分かるため、できれば外しておくのが望ましいでしょう。どうしても外せない場合は、極力目立たないように配慮します。また、ピアス自体の問題ではありませんが、パールのピアスをつけたまま大きなイヤリングのようなイヤーカフを併用することも控えましょう。葬儀はファッションを楽しむ場所ではなく、あくまで「黒」と「控えめなパール」だけで自分を構成する場所です。自分の個性を消すことこそが、その場に対する最大の敬意となるのです。さらに、イヤリングについても同様のことが言えますが、ピアスよりも厚みが出やすいため、あまりにも耳から飛び出しているように見えるボリュームのあるデザインは避けましょう。パールのピアスという、たった1cmにも満たない小さなアイテムですが、その選択を誤ることで「常識のない人」というレッテルを貼られてしまうリスクがあります。事前に鏡で自分の姿を客観的にチェックし、華美な要素が1つもないかを確認することが、失敗しないための唯一の方法です。