葬儀が終わって遺骨と共に帰宅した後も、実は葬儀の一部とも言える重要な「事後手続き」が山積しています。葬儀そのものは2、3日で終わりますが、社会的な死を完了させるためには、ここからが本当の粘り強さが求められます。まず、自宅に設置された「後飾り祭壇」に遺骨と位牌、遺影を安置し、四十九日の法要まで毎日、水や線香を供えて供養します。実務面では、まず市町村役場への手続きが必要です。死亡届は葬儀社が代行することが多いですが、世帯主の変更や印鑑登録の抹消などは遺族が行います。次に、年金や保険の停止と請求、そして最大の山場である「遺産相続」の手続きが始まります。銀行口座の凍結解除、不動産の名義変更、公共料金の支払い者変更など、行うべきことは数百項目に及ぶこともあります。これらは事務的な作業ですが、実はこれも「グリーフケア」の一環としての側面を持っています。故人の名前が記された書類を整理し、1つひとつ「死亡」の印を押していく作業は、遺族に死の現実を何度も再確認させ、社会的な関係を清算させていくプロセスです。また、葬儀でお世話になった方々への「お礼」も重要です。僧侶への「お布施」の手渡し、参列できなかった方からの香典への「香典返し」の発送、手伝ってくれた近所の方への挨拶回りなど。こうした対人関係の整理を通じて、遺族は「故人を無事に送り出した」という社会的な達成感を得ることができます。四十九日の法要を終えると、忌明け(いみあけ)となり、遺骨は墓地や納骨堂に納められます。ここでようやく葬儀という一連のプロジェクトは一段落し、遺族は故人のいない「新しい日常」へと本格的に戻っていくことになります。葬儀とは、亡くなった瞬間から四十九日まで続く、長い長いグラデーションのような別れのプロセスなのです。後の手続きを1つずつこなしていくことは、故人が遺した人生の整理整頓であり、それは故人に対する最後の献身でもあります。煩雑な作業の中にこそ、故人への愛が宿っていると考えれば、これらの手続きもまた、神聖な供養の時間へと変わるはずです。
葬儀が終わった後の「事後手続き」と日常生活への帰還