近年、ごく近しい身内だけで故人を見送る「家族葬」を選ぶ方が増えています。しかし、家族葬は参列者を限定するため、故人と親交のあった多くの方々は、葬儀が終わった後に初めてその事実を知ることになります。そのため、ご遺族には、葬儀が無事に終わったことを、丁寧にお知らせする役割が求められます。この事後報告は、故人の尊厳を守り、人間関係を円満に保つ上で非常に重要です。報告の方法としては、はがきや封書による挨拶状が最も一般的で丁寧です。送るタイミングは、葬儀後、四十九日法要を終えて少し落ち着いた頃までが良いとされています。文面には、誰がいつ亡くなったかという事実に加え、なぜ事後報告になったのかという理由を必ず記します。「故人の生前の遺志により、葬儀は近親者のみにて執り行いました」といった一文を入れることで、相手も「だから呼ばれなかったのか」と納得することができます。そして、事後報告になったことへのお詫びの言葉と、生前の厚誼に対する感謝の気持ちを述べます。また、香典や供花、弔問などを辞退する場合には、その旨も明確に記載しておくと、相手に余計な気遣いをさせずに済みます。「誠に勝手ながら弔問ならびにご香典ご供花の儀は固くご辞退申し上げます」といった形で伝えます。以下に簡単な文例を記します。「父〇〇儀かねてより病気療養中のところ去る〇月〇日〇歳にて永眠いたしました葬儀は故人の遺志により近親者のみにて滞りなく相済ませましたご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げますとともに生前賜りましたご厚誼に心より御礼申し上げます」このような丁寧な報告をすることで、故人に代わって、その生涯を支えてくださった方々へ、最後の感謝を伝えることができるのです。