土葬の手順と費用は?もし日本で行うとしたら
現代の日本において土葬を行うことは極めて困難ですが、仮に全ての条件が整った場合、どのような手順と費用が必要になるのでしょうか。これは、あくまで限定的な状況を想定したシミュレーションです。まず、最初のステップにして最大の難関が、「土葬を許可している墓地を探し、契約する」ことです。自治体の条例を確認し、土葬が可能な墓地を見つけなければ何も始まりません。公営墓地ではほとんど認められておらず、一部の民間霊園や、特定の宗教団体が運営する墓地などに限られます。次に、役所への手続きです。故人の死亡届を提出する際に、通常は「火葬許可証」を申請しますが、土葬の場合は「埋葬許可証」を発行してもらう必要があります。この許可証がなければ、墓地に遺体を埋葬することはできません。続いて、ご遺体の処置と搬送です。土葬の場合、エンバーミング(遺体衛生保全)という、ご遺体の消毒や腐敗防止を目的とした特別な処置が求められることがあります。これは、公衆衛生上の観点や、埋葬まで日数がかかる場合を想定してのことです。棺は、火葬のように燃やす必要がないため、金属製の釘などを使わない、土に還りやすい木製のものが選ばれることが多いです。そして、最も気になる費用ですが、一般的に火葬よりも高額になる傾向があります。まず、土葬用の墓地は区画が広く必要になるため、永代使用料が高くなりがちです。墓石を建てる費用もかかります。エンバーミングの費用も数十万円が必要です。これらに加え、ご遺体の搬送費や人件費などを合わせると、総額で数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。費用面からも、土葬は現代の日本ではハードルが高い選択肢と言えるでしょう。