年末が近づくと、喪に服している家庭から「喪中はがき(年賀欠礼状)」が届きます。これは、身内に不幸があったため、新年の挨拶を遠慮させていただく旨を伝えるための挨拶状です。そして、この喪中はがきは、葬儀に参列できなかった方々へ、葬儀が無事に終わったことを正式に報告する機会も兼ねています。喪中はがきに葬儀の報告を盛り込む際には、いくつかの決まった型があります。まず、誰がいつ、何歳で亡くなったのかを明確に記します。次に、葬儀を執り行ったことの報告ですが、ここで「葬儀は滞りなく相済ませました」といった表現が使われます。特に家族葬などで、事後報告となる場合には、その旨を伝える重要な一文となります。「葬儀は故人の遺志により近親者のみにて執り行いました」と記すことで、相手に事情を伝え、理解を求めることができます。そして、生前の故人への厚誼に対する感謝の言葉を述べ、最後に、相手の健やかな新年を祈る言葉で締めくくります。句読点(「、」や「。」)は用いないのが伝統的な書き方です。以下に、一般的な文例をいくつか示します。「喪中につき年末年始のご挨拶を謹んでご遠慮申し上げます本年〇月に父〇〇が〇〇歳にて永眠いたしました葬儀は滞りなく相済ませました生前中賜りましたご厚誼に深く感謝いたします皆様には健やかなる新年を迎えられますようお祈り申し上げます令和〇年〇月」家族葬の事後報告を兼ねる場合は、以下のような文面になります。「喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます本年〇月に母〇〇が〇〇歳にて永眠いたしました葬儀は故人の遺志によりまして近親者のみにて執り行いましたここに生前のご厚情を深謝し皆様に厚く御礼申し上げます寒さ厳しき折から皆様のご健勝をお祈りいたします令和〇年〇月」この一枚のはがきに、必要な情報を簡潔に、そして敬意を込めて記すこと。それが、日本の美しい手紙文化に根ざした、大切なコミュニケーションなのです。