大切な方の葬儀を終えた後、お世話になった方々へその旨を報告する際には、どのような言葉を選べば良いのでしょうか。深い悲しみと慌ただしさの中で、適切な表現が思い浮かばないこともあるかもしれません。このような場面で古くから使われている、丁寧で心のこもった言い方を知っておくことは、社会人としての大切なマナーです。最も一般的で丁寧な表現が「滞りなく相済ませました」という言葉です。読みは「とどこおりなくあいすませました」となります。「滞りなく」は、何事もなく無事に、という意味。「相済ませる」は、完全に終える、という意味の謙譲語です。つまり、皆様のお力添えのおかげで、葬儀という大切な儀式を無事に終えることができました、という感謝と安堵の気持ちが込められています。この一言で、葬儀が完了した事実報告と、関係者への感謝を同時に伝えることができます。もう少し簡潔に伝えたい場合は、「葬儀を執り行いました」という表現も適切です。「執り行う」は、式などを正式な作法に則って行うという意味の、改まった言い方です。こちらも、葬儀が無事に終わったことを伝える丁寧な表現として広く使われます。これらの言葉は、口頭で伝える場合だけでなく、挨拶状やメール、喪中はがきなどの文面でも用いることができます。例えば、「かねてより療養中のところ去る〇月〇日に永眠いたしました葬儀は近親者のみにて滞りなく相済ませました」といった形で使用します。大切なのは、単に儀式が終わったという事実を伝えるだけでなく、その背景にある故人への敬意と、支えてくださった方々への感謝の気持ちです。これらの伝統的な言葉には、そうした日本人の奥ゆかしい心遣いが凝縮されているのです。